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【準備中】 ヴォカリーズ (ラフマニノフ)  

●マンドリン合奏版

ラフマニノフ不朽の名作を、マンドリンオーケストラの調べにのせて。歌詞を持たぬ「歌」が、トレモロの繊細な重なりによって、より深い哀愁と祈りを帯びて響きます。心に染み入る至高のメロディをご堪能ください。

●演奏時間 約3分 

●編成

1st Mandolin / 2nd Mandolin / Mandola / Mandocello / Mandolone / Contrabass / Guitar

作曲者  ラフマニノフ(1873~1943)

編曲者  森安浩司

●難易度  ★

●紹介文

言葉を超えた、純粋な祈りの旋律

ロシアの巨匠、セルゲイ・ラフマニノフ(1873–1943)。彼が遺した数多くの傑作の中でも、この「ヴォカリーズ(Vocalise)」ほど、時代や国境を超えて愛され続けているメロディはないでしょう。

「ヴォカリーズ」とは、もともと「歌詞を伴わず、母音のみで歌う歌唱法」を指す音楽用語です。言葉を持たないからこそ、そこには特定の意味に縛られない、純粋な感情や祈りが込められています。本作は1915年に出版された「14の歌曲集」の終曲として、当時の高名なソプラノ歌手アントニーナ・ネジダーノヴァに捧げられました。

亡命前夜、ロシアの空気を纏って

この曲が書かれた1910年代半ば、ラフマニノフの故郷ロシアは革命の足音が近づき、激動の時代を迎えていました。やがて彼はアメリカへ亡命し、二度と故郷の土を踏むことはありませんでした。

「ヴォカリーズ」の旋律に漂う、深く、どこか寂寥感のある響きには、失われゆく祖国への愛着や、言葉にできない惜別の情が投影されているようにも感じられます。ハ短調の重く沈み込むような低音の上で、溜息をつくように上昇し、やがて力なく降りてくる主旋律。その優美で複雑な曲線美は、ラフマニノフにしか描けない「心の風景画」と言えます。

マンドリンオーケストラによる新たな息吹

本来は歌とピアノのために書かれたこの曲は、作曲者自身による管弦楽編をはじめ、チェロやヴァイオリンなど、あらゆる楽器で演奏されてきました。今回、マンドリンオーケストラという編成で奏でられることには、特別な意義があります。

  • トレモロが紡ぐ「呼吸」: 歌い手の息づかいに相当するのが、マンドリンの「トレモロ」です。一音一音が絶え間なく刻まれることで生まれる繊細なビブラートは、人の声に近い温もりを持ちながらも、どこか幻想的な浮遊感を醸し出します。

  • 撥弦楽器による立体感: マンドリン属のピチカートや、ギター、コントラバスが刻むリズムは、ラフマニノフ特有の厚みのある和声を立体的に浮かび上がらせます。ピアノ一台では表現しきれない、オーケストラならではの色彩豊かなグラデーションが、この曲の持つ抒情性を一層引き立てるでしょう

 

終わりに

静寂の中から湧き上がり、高揚し、最後は消えゆくように終わるこの曲は、聴く者の心に静かな余韻を残します。マンドリン、マンドラ、チェロ、そしてギターが重なり合うことで生まれる、言葉を超えた「歌」の調べ。オーケストラ全体がひとつの大きな「呼吸」となる瞬間を、ぜひ心ゆくまでお楽しみください。

 

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