編曲ポリシー
私の編曲は、マンドリン族の楽器のみで音楽を構築することを基本としています。
管楽器に頼らず、マンドリン合奏の響きを生かすこと。
そして、すべてのパートが役割を持つ「パートの民主化」を大切にしています。
私の編曲の基本
私の編曲では、原則として管楽器を使用しません。
理由はシンプルです。管楽器のトーンは、マンドリン特有の乾いた層状の音色を埋めてしまうからです。
マンドリンの音色は、金属弦をはじくことで生まれる微細な空気の隙間が幾層にも重なり合うことで、独特の響きを形作っています。
そこに管楽器が加わると、その隙間が埋められ、音色や音量の面でもマンドリンの響きが後景に退いてしまうことがあります。
もちろん、マンドリン合奏のために書かれたオリジナル作品の中には、管楽器を編成に含むものもあります。それらは作曲の段階からマンドリンの特性を踏まえて書かれているものであり、ここで述べていることとは事情が異なります。
オーケストラ曲のマンドリン編曲について
マンドリン合奏で演奏されるクラシック編曲の多くは、オーケストラの弦楽器パートをマンドリン族の楽器に置き換え、そこに管楽器を加える形で作られています。
しかし、マンドリンはバイオリンとは異なる楽器です。
音量、音色、発音、持続の仕方など、その性格は大きく違います。
そのため、オーケストラの響きをそのまま再現する発想では、マンドリン合奏本来の魅力が十分に生かされない場合があります。
私は、原曲を尊重しつつも、マンドリンという楽器の特性に即した形で音楽を再構成することが大切だと考えています。
パートの民主化
編曲にあたっては、すべてのパートが演奏して楽しめることを大切にしています。
すべてのパートに役割と聴かせどころを持たせること。
私はこれを「パートの民主化」と呼んでいます。
1stだけが主役になるのではなく、2nd、Dola、ベース、ギターなど、すべての奏者が旋律や和声の一部を担い、合奏全体の中でそれぞれに光が当たる構造を意識しています。
この考え方は、私が師と仰いでいた熊谷賢一先生から教わったものです。
先生はある酒席で、こう語っておられました。
「合奏はパートの民主化が大事なんだよ」
すべてのパートが役割を持ち、音楽を支える。
その言葉は、今でも私の編曲の基本的な指針になっています。
すべてのプレイヤーが誇りを持ち、聴衆に音楽の魅力を届けられることが、私の編曲の基本理念です。
むすび
マンドリン合奏は、管楽器に頼らずとも豊かな表現力を持っています。
私の編曲は、マンドリン族の楽器のみで音楽を構築し、その個性と響きを最大限に生かすことを目指しています。
本サイトで紹介している楽譜は、この方針のもと、実際の演奏現場で試行と改訂を重ねながら磨き上げてきたものです。
演奏する人にとっても、聴く人にとっても魅力のある合奏作品となることを願っています。