【準備中】 アルルの女ファンタジー (ビゼー)
●マンドリン合奏版
「カルメン」「真珠採り」などを代表作に持つビゼーは、ドーデの短編小説に基づいた戯曲「アルルの女」のために、1872年に全27曲の付随音楽を作曲した。これらの中の名曲の数々をメドレーとして編曲したものである。
ストーリーの舞台は南フランス。アルルの闘牛場で見かけた美しい女性に心を奪われ、人生を狂わせてしまった豪農の息子フレデリが主人公の愛憎劇である。
●演奏時間 約12分
●編成
1st Mandolin / 2nd Mandolin / Mandola / Mandocello / Contrabass / Guitar
●作曲者 ビゼー(1838~1875)
●編曲者 森安浩司
●難易度 ★★★
●紹介文
本曲は、フランスの作曲家 ジョルジュ・ビゼー(Georges Bizet, 1838–1875)が1872年に作曲した劇付随音楽《アルルの女》をもとに構成されたファンタジー作品です。ビゼーは《カルメン》や《真珠採り》といった名作で知られますが、本作もまた彼の卓越した旋律美と色彩感覚が存分に発揮された重要な作品の一つです。
原作は作家 アルフォンス・ドーデ(Alphonse Daudet, 1840–1897)による短編小説であり、その戯曲化に際してビゼーが全27曲からなる付随音楽を書き下ろしました。しかし初演時の舞台は成功せず、音楽も一時は埋もれることとなります。後にビゼー自身、また友人の エルネスト・ギロー(Ernest Guiraud, 1837–1892)によって組曲として再構成されたことで、その魅力が広く知られるようになりました。
物語の舞台は南フランス・プロヴァンス地方。アルルの闘牛場で見かけた美しい女性に心を奪われた青年フレデリは、彼女への執着によって次第に心の均衡を失い、やがて破滅へと向かっていきます。舞台上には“アルルの女”本人は一度も登場せず、その存在は周囲の人物の語りや主人公の内面を通してのみ描かれるという、象徴的かつ心理的な構造が特徴です。
本ファンタジーは、この付随音楽および組曲の中から特に印象的な楽曲を選び、メドレー形式で再構成したものです。明るく躍動的な南仏の民俗色を感じさせる旋律、素朴で温かみのあるコラール風の音楽、そしてフレデリの内面を映し出す哀切な旋律など、多様な性格の音楽が次々と現れます。
とりわけ有名な「ファランドール」に代表される舞曲風の音楽は、祝祭的な高揚感と力強いリズムによって作品全体を華やかに彩ります。一方で、「アダージェット」や「メヌエット」に見られる繊細で抒情的な書法は、ビゼーの旋律作家としての才能を強く印象づけます。これらの対照的な要素が交錯することで、物語の持つ光と影、愛と苦悩のドラマが立体的に浮かび上がってきます。
本編曲では、原曲の持つ南フランス特有の明るさと陰影のコントラストを大切にしながら、マンドリン合奏の特性を活かした音色と構成によって新たな音楽的流れが与えられています。各曲の性格を際立たせつつ、全体として一つの物語として聴かれるよう配慮されており、ビゼーの豊かな音楽世界を凝縮したファンタジーとしてお楽しみいただけることでしょう。
