【準備中】 交響詩「フィンランディア」 (シベリウス)
●マンドリン合奏版
フィンランディア は、シベリウスを代表する交響詩として広く知られる作品である。本編曲はその全曲をマンドリン合奏のために再構成したもので、原曲の壮麗なドラマと崇高な旋律を、マンドリン属の透明で力強い響きによって描き出す。
●演奏時間 約9分30秒
●編成
1st Mandolin / 2nd Mandolin / Mandola / Mandocello / Contrabass / Guitar
●作曲者 シベリウス(1865〜1957)
●編曲者 森安浩司
●難易度 ★★★
●紹介文
本曲は、1899年に作曲された作品で、フィンランド音楽を象徴する名作として広く知られている。作曲当時、フィンランドはロシア帝国の統治下にあり、民族文化や言論の自由に対する抑圧が強まりつつあった。こうした時代背景の中で、民族意識を高める文化運動の一環として開催された「新聞人祝賀祭」のための音楽の終曲として作曲されたのが、この《フィンランディア》である。
作品は、重く暗い響きによる序奏に始まる。金管と低弦による威圧的な動機は、当時の抑圧された社会状況を象徴するかのように厳しい緊張感を帯びている。やがて音楽は次第に活気を帯び、力強いリズムと躍動的な主題が現れ、民族の誇りと抵抗の精神を思わせる劇的な展開が繰り広げられる。この激しい部分は、シベリウス特有の凝縮された動機処理と大胆な和声によって構成され、短い作品の中に大きなドラマを形成している。
そして作品の終盤には、広く知られる荘重な旋律、いわゆる「フィンランディア讃歌」が静かに現れる。この旋律は後に歌詞が付けられ、フィンランドの第二の国歌とも言われるほど親しまれるようになった。静かに始まるこの旋律は次第に広がり、やがて壮大なクライマックスへと高められる。厳しい闘いを経て到達する精神的な光を思わせるこの結末は、《フィンランディア》を単なる交響詩にとどまらない象徴的な作品としている。
本編曲は、この交響詩《フィンランディア》を抜粋ではなく全曲の形でマンドリン合奏のために再構成したものである。しばしば終結部の讃歌のみが独立して演奏されることも多いが、原曲は暗い序奏から劇的な闘争、そして崇高な終結へと至る明確な構成によって強い感動を生み出している。本編曲ではこのドラマティックな全体構造を尊重し、作品の流れをそのままマンドリン合奏の音響の中で再現することを目指している。
壮烈なドラマと深い精神性を兼ね備えた《フィンランディア》は、交響詩というジャンルの中でも特に象徴性の強い作品である。マンドリン合奏による演奏では、その透明感ある響きによって旋律の美しさと音楽の推進力が新たな光を帯び、原曲とは異なる魅力が浮かび上がる。本編曲は、マンドリン合奏の表現力を広く示すレパートリーとして、演奏会に力強い印象を残す一曲となるだろう。
